アロハを脱ぎ捨てたハンター(だから脱ぎ捨てたのさ)

アロハを脱ぎ捨てたら その下には何があるんだい?
何にもないよ ただ風が吹いているだけさ

自己を問い自己を追い自己に執着する
涸れ井戸は何処まで行っても涸れ井戸だ

水脈に繋がり水の満ちた自己など何処にもありはしない
水脈が分断され孤立してしまった涸れ井戸こそが自己というものなのさ

潮が引き頭を出した小岩のようなもんさ

自己という幻の出現に狂気乱舞する病
それを生と言うんだろ

風に晒され日に焼かれ波に洗われて
束の間 時が流れ過ぎると
また暗い潮の底に沈むのさ


いのち短し恋せよ乙女
青年は荒野をめざせ

命を惜しみ石の銭を貯め込む愚かさよ
所有という名の幻想に土地に杭を打ち猜疑の塀の内に身を潜める悲しさよ

大きな砂の家に棲む貴族と打ちあげられた流木の陰に宿をとる旅人
うたかたの生に然したる違いなどあろうものか

所有することが幸福であると信仰する者
所有していないことが不幸であると信仰する者
所有していると信仰する者
所有していないと信仰する者

所有し得るものが何一つ無いのに所有という観念に迷妄する哀れさよ
それが業という憑き物なんだろう

そして涸れ井戸は忘れ去られ
引き潮に束の間顔を出した小岩はふたたび海原に消えうせるのだ


いのち短し恋せよ乙女
青年は荒野をめざせ

すべてを捨て去るという決意が尊いのさ
いのちをも投げ出すという清さが眩いのだ

ただで天から授かったいのちに執着するさもしさよ
下卑た畜生に爽やかな黎明など訪れるわけがない

アロハすら脱ぎ捨てたことにささやかな意味がある
ささやかな意味がね


        
           
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