四季の巡りと輪廻転生

そこまで来ているはずなのに 春はなかなかやって来ない 僅かに強くなった日差しのなかにも いつまでも吹き止まない北風に いい加減癇癪も起こすほどにくたびれ果てる 北国でも山陰でもないが 何故だかこの頃には 陰々滅々に物憂いのだ 人生の春は永遠にこないのに (肉体の春だけが早々に通り過ぎていったような) …

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逃亡から報復へ

西村寿行 著「君よ憤怒の河を渉れ」読了 過去など一瞬にして消え去るものだ 過去が消え去った時、未来もまた既に無い事を知る 君は失意と諦念のうちに今をも手放すのか 否 君よ憤怒の河を渉れ たとえそれが逃亡という名の今であっても 君に義があるなら 逃げて逃げて逃げ失せよ 今を手放さないということは生…

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絶滅種20年の旅路

アリス・ロバーツ 著「人類20万年 遥かなる旅路」 読了 20万年前、 アフリカの地で数千人の集団で暮らしていた現生人類、ホモ・サピエンスの祖先は、遥かな時の旅路を経て、世界中に広がっていった スティーブン・ジェイ・グールド曰わく、「生命とは、おびただしく枝分かれした樹木で、主の絶滅という死神によって絶え間なく剪定されてきた…

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嵐が丘

エミリー・ブロンテ 著 「嵐が丘」 読了 束の間、ヒースクリフという孤独な悪党を友としたが、復讐も正に成就せんとしたその時になって悪党であることに疲れ果て、その予期した展開に自嘲しながらも新たな破壊に手を下すこともなく、自ら死んじまいやがった。何で死ななきゃならないんだ? いや、彼は遠に死んでいた、キャサリンが死んだその時に。安らかな…

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ビーナスの微笑み

西の空に上弦の月と火星と金星が並んだ その金星の幻惑を誘うほどの眩さ 一体この明るさは何なんだ 自ら宿してきたファンタジーはことごとく夢と消え果て 凍てつく暗いアスファルトを黙々と歩く男に こうして空を見上げ 美しく謎めいた天体のファンタジーに しばし足を止めさす意味とは何なのか ようやく夢から覚めて 冷や…

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辺境にある熱狂

北方謙三 「碑銘」 見城徹 「たった一人の熱狂」 読了 見城徹は勝つ術のない死に、それでも儚(はかな)くも抗い続ける生のパルチザン闘士として自らを捉えればこそ、圧倒的な中心と圧倒的な成功のもとにありながら、尚たった一人の熱狂を続けることができる 国境を以って対峙するのは国家 体制と新体制の間に立つ者は革命家 合法と…

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辺境に棲む日々

辺境への強烈な執着と偏愛 中心への侮蔑と無関心 辺境にある己れへの冷静な客観と 諦念に燻(いぶ)されて尚、艶(なまめ)く不屈の自我 遠くなっていく中心に わいわいやっているだけの幼稚で空疎な中心に 夢から覚めたように興味を失った 中心とは夢の坩堝であり 辺境こそは覚醒の淵ではないか 夢が夢であると知った今 …

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早春のプレゼンテーション

J. ディッキー 「救い出される」 読了 村上柴田翻訳堂で新訳復刊された10冊の内の1冊 1971年発刊、もともとの邦題は「わが心の川」、映画の邦題は「脱出」 それにしても(救い出される)とはつまらない表題だ 暗喩と両義性に満ちた単純なようで理屈っぽい小説だった 白んだ満月がようやく山の端に隠れると 空から一面さらさ…

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喪失してはならないもの

大岡昇平 「野火」 村上春樹 「女のいない男たち」読了 新年早々たまたま読んだ二冊の本はどちらも面白かった おみくじを引いたような偶然にあえて意味を見つけるなら、戦場という極限の中で人間性と自らの命の喪失に直面する男たちと、愛する女を喪失した男たちを連続して読んだことになる 自らの命を喪失しては話にならないが、愛する女を色々…

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初夢

賑やかな市街地に売り出し中のそう広くはない土地を買うことにした そこは8分割されていて俺の購入した土地の両端も瞬く間に売約済となった 俺にとって名前は知ってはいるが何の足掛かりも手掛かりもない遠い街 取り立てて喜んでいる風もない 俺はそれなりに出来上がるであろう新築の小さな家を想像し街に繰り出した 街を抜け出すと、そこには大き…

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オレという連続

ドナルド・トランプ 著「トランプ自伝」 青山繁晴 著「平成紀」 読了 俺だけが知る俺の連続 俺の肉体を住処(すみか)とし思考し感じ企み続けるもの 肉体の所在の履歴などとは次元の違う 思考し感じ企み続けてきた任意な定点の膨大な記憶 その俺という任意な定点と 肉体が持つ宿命と性(さが)とは同一ではない 可…

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割拠

村上春樹 「職業としての小説家」 佐藤 優 「先生と私」 浅田次郎 「ハッピー・リタイアメント」読了 高杉晋作は第二次長州征伐軍も迫る絶体絶命の四面楚歌の中で 長州割拠と叫んだ 割拠 長州割拠 俺の人生も幕末といやあ幕末だ 割拠 絶体絶命四面楚歌唯我割拠 チョー気持ちイイぜ 割拠 唯我…

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もう一つの四十七士

つまらぬエビデンスや作業指示書や報告書、決裁書類に一体どれほど押印してきたことだろうか それは取りも直さず、自らの分裂と解体と喪失に悶絶し続ける長い闇夜の彷徨だった 若い情熱が何度も挫折し、それでも果敢に夢色の未来に挑んでいたはずが、どこでどう間違えたのか人の道の常なのか、生活を一日も途絶えさせることなく連続して行かなければなら…

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五分後の世界

朝靄(もや)に煙る街 ( たしかに珍しいほどに濃くて深い朝靄だ) 昨日までの街とは違う五分後の世界 踏み出したのだ 愛想を尽かした我と輝きを失った世界を後にして すべては似て非なるもの 今はまだ朝靄の先に隠れているが 俺が求め続けて止まなかった世界が 強烈な光と闇と情熱と 原色の真理を宿した五分後の世界…

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サクセス

暗くなった誰もいないプラットホーム 闇の先に深と静まり返る新たな街に向かい、肺の奥底から細い紫煙を吐き出すと、チリチリと赤く燃える煙草の先に束の間目をやる 地底のミッションをいくつかこなし 人生の配線をちっとばかし変えて またこうして帰って来た 迎える者は誰もいない わずかに艶のある闇と森閑とした静寂 赤く燃え…

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「憂囚録」を閉じる

船戸与一 著「満州国演義」(九)最終巻読了 吉田松陰の「憂囚録」が明治ー大正ー昭和ー敗戦までの百年を貫いていると看破する。黒船の来航で一挙に顕在化した日本の民族主義は、松陰の打開策を尊皇攘夷と名付けた。明治新政府は欧米列強による植民地化を回避するために躍起となった。伊藤博文に代表される近代化論と山県有朋が領導した兵営国家論が対立・…

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晩秋のカタルシス

船戸与一 著「満州国演義」(七)(八) 巻 読了 船戸さんは現場取材を非常に大切にしていた。そこの地理、気候、町並み、民族、宗教などをざっと掴み、あとは文献資料で徹底的に調べる。その上で、オリジナルの登場人物は存分に動かし、豪快に血しぶきをあげさせる。舞台はノンフィクション、人物はフィクションという徹底した区分けが船戸作品の中核な…

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トランプリスク!

軍隊経験も政治経験も政治献金もゼロ 不動産王として巨万の富を築き あらゆるイデオロギーにも権力にも組織にも大衆にも依存せず 自らの成功体験と自らの金と自らの人格によって立つ アメリカンドリームを自ら体現し アメリカの自由を誰よりも謳歌し アメリカの今とアメリカの未来を誰よりも憂う愛国者が 世界の巨大変数として立ち現れた …

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無頼という反逆・漂流

船戸与一 著「満州国演義」(五)(六)巻 読了 かつて柳絮(りゅうじょ)のように生きると緑林の徒を率い青龍攬把と呼ばれた敷島次郎は、手下をすべて失い一時受けた関東軍特務機関からの依頼仕事にも決別し、拳銃を捨て馬を手放し背広を着てルノー車を買い混沌の度を深める支那を彷徨う。 満州国演義(六)大地の牙 p64 「無聊がこれほど…

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隷属かモーゼルか

船戸与一 著「満州国演義」(三)(四)巻読了 「祖国のためなんですよ」 「俺の知ったことじゃない」 「自由ですか?」 「何だと?」 「そんなに自由が大事なんですか」 「おれは刹那刹那で生きているだけだ。自由がどうだこうだとは考えたこともない」 「そのうち持て余しますよ」 「何を?」 「自由をですよ。自由というのはあ…

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鈍く光るもの

組織を抜けるということはなかなかの難事業だ 裏稼業は言うに及ばず真っ当な仕事ですらも 世の中は当然の如く組織に属していることの価値ばかりをあげつらうが、何の組織にも属していないという黙殺された価値がある 世の中の大勢は組織に属した者によってのみ成り立っており、組織に属していない者は昔から失業者か無能力者かアウトローと相場が…

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馬賊という生き方

船戸与一 著「満州国演義」(一)(二)巻読了〈全九巻〉 日本を捨て大陸に渡り馬賊となった 清朝末期の混乱の中で 必然にして湧き出るように現れた盗賊団 治安悪化故の自衛集団がやがて力を持ち 無法の徒として大地を跋扈する 草原の草を草食動物が食(は)み 増え続ける草食動物を肉食動物が狩るように 木を切…

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自由と実存の朝日

人生の果実はモラトリアムの中にこそある 学生時代・失業期間・リタイア後・・ そこに自由とありのままの自分があるからだ やり甲斐や生き甲斐やアイデンティティーやステイタスや社会的責任といった生まれながらに刷り込まれた社会的共同幻想から解き放たれる時、組織の中に喪失した自分というものに、唯一無二の自分・有限の人生・天地の摂理に対す…

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終わりなき ルート2

AM4:35' 、時折大型トラックが2~3台固まって流星のように追い越していく。街頭に白々と照り返す閑散としたアスファルトが百年一日の如く続き、頼りない原付バイクのエンジン音が未明の街に低く鳴り響く。 ヘルマン・ヘッセは「シッダールタ」の中で時間というものは実は無く人生は川のようなものだと言った 今こうしてまだ明けやらぬルート2…

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秋・マクドナルド

2016・9・24 AM5:55' 早朝のマクドナルド 24h営業ゆえの朝方の気だるさ だが悪い気はしなかった わずかな気だるさと同時に 肌に冷んやりとした初秋の朝が ガラス窓の外にゆっくりと明けていく ソーセージマフィンとホットコーヒーをトレーに載せて 窓際の席に着き 、食べるつもりもなかった朝食にあり…

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真夜中のダンス・ダンス・ダンス

重力以上に急降下すると無重力状態になる この世の不条理以上の不条理、極限以上の極限、絶望以上の絶望の中にこそ条理でも極楽でも希望でもない、わずかな者のみが知る真の自由がある 選ばれし者は苦い珈琲でも味わうように じっと闇を見つめているのだろうか 闇の奥におぼろに浮かぶ顔は、口もとに微かな笑みを含み 静かにゆっくりと…

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遠き山に日は落ちて

遠き山に 日は落ちて 星は空を ちりばめぬ きょうのわざを なし終えて 心軽く 安らえば 風は涼し この夕べ いざや 楽しき まどいせん まどいせん (堀内敬三 作詞 : 家路) 遠き山に 日は過ぎて 思い出は人生を ちりばめぬ この世のわざを なし終えて 心軽く 安ら…

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猛き箱舟

船戸与一 著「 猛き箱舟 」(上)(下)読了 どんな人間でも人は皆必ず裏切るのだ 美学や信条は青臭い甘さとなって 必ず足元をすくわれる 誇りは汚され無尽蔵の悪意と嘲笑に叩き潰される 報復・・・ 報復しないでおれようか 裏切った奴の喉を匕首で掻き切り 恐怖に引きつったそいつの顔面に弾丸をぶち込む 踏みにじ…

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決行の時

時限爆弾の秒針が動き始めた チッチッチッという時を刻む音 あとわずかな時間の後、この腐った時空は消え去る そのあとに俺は生き残っているのだろうか 腐った時空を破壊しなきゃ 腐った時空に俺が殺されちまうのさ 何もかもこっぱ微塵に消えやがれ 俺は爆風とともにこの時空から脱出する 契約という不可思議な鎖につなが…

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その公案に勝つ

マシン室内に作業服を来た大手メーカー社員8人ほどが2チームに分かれ、それぞれリーダーと思われる男の下で時折分厚い使用解説のようなものをめくりながら、黙々と山のようにあるコードを縦横につなげていき、次期システムに向けての新しいサーバーやPCやドライブが次々にセッティングされていく。今日は彼らが来始めて三日目だが、作業中たまに指示が飛ぶ以外…

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限りなく肉体的に、限りなく精神的に

赤いパネルが明滅し、ヴォーヴォーという警報が鳴り響く 迫り来る行き止まりの生存を知らず 明日の安穏を疑わぬ多くの過去人を尻目に 生き残りうる者のみが走り出す 生き残りうる者のみが危機を知り 渾身の非常手段をとる いつの時代もそうだった いつの時もそうなのだ 生存という非生存の海に浮かぶ葦の小舟 生存とい…

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非常事態 ー非常手段

非常事態を知らせる赤色のパネルが心筋梗塞でも起こしたかのようにあちらこちらで激しく明滅し、ヴオーヴオーヴオーという耳をつん裂くような警報が狭い船内を濁流のように荒れ狂い鳴り響く。宇宙空間という絶望の海に、今正に塵にも満たない小さな宇宙船がたわいもなく呑み込まれようとしていた。 アドレナリンが全開し 生存への回路に怒涛のアクセスが…

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オデッセイ・絶望の宇宙

夜空が4千億の恒星と3千億の星雲の光に覆われていても 夜空は決して都市の市街地の夜のように明るくはならない 満天の星空を見て、とにかくどの方向でもまっすぐにロケットで飛び続ければ やがて光の繁華街に出て、ほっといてもどこかの恒星や惑星に行き着くと思うのは大きな間違いだと言う まず永遠に、ただひとつの恒星にも、まして惑星に…

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Mission Impossible

真山 仁 著「レッドゾーン 」(上)(下) 読了 Mission Mission Impossible 真の武士(もののふ)とは何だ ただの階級の称号なのか 時の権力に飼われた犬なのか 太平の世においては 武士とは生活を保証された家畜であり 治安行政を担う公務員に過ぎない 武士道と云ふは死ぬ事と…

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国防の戦士

すでに戦時下にあり 全ては厳戒令下国防軍の管轄下にある 薄汚い平和と言う名のカオスに帳(とばり)が降りて 正気に返ったような硬質な時が蘇る 私企業の利益追求の歯車となって 己れの生活の糧を得 社畜となって 滅私奉公し なにがしかの対価を得ることに 耐えがたい屈辱と 埋めようのない虚しさを感じてきた、が 一…

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頭上に舞うハゲタカを見よ

真山仁 著「ハゲタカ 」(上)(下)、「ハゲタカ 2」(上)(下)読了 「私は、ラブだのフェアだのは信じない。信じているのはパッションだけよ」 〈ゴールドバーグ・コールズ(米系投資銀行)副社長、鷲津の元恋人 リン・ハットフォード〉 もう一人の主役とも言える彼女の、「ハゲタカ 2」上巻・下巻で各一回づつ計2回出てくるこのフ…

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Bomber

有刺鉄線に囲まれた社会という名の腐れ牧場で、まだ社畜にも家畜にも成りきれていないお前らは、成長という満ち潮の頂点にいる お前らは潮の勢いに乗って平氏の船団を追い詰める源氏軍のように、無知という傍若無人で畏れを知らない最新鋭の武器を持って進駐軍のように不遜な面をして、既得権の鎧に包まれた社会に乗り込んでくる お前らは過去を知らない…

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Ride On Time

武蔵小金井の石畳の坂の途中にあった小さな喫茶店でよく聴いた山下達郎の「Ride On Time」 その垢抜けたスウィングは俺の人生を照らす永遠のスウィングとして頭の中に深く刻み込まれたが、いつしか遥か記憶の堆積の下に鳴り響くこともなく忘れ去られた それがいま、頭の奥に小さく夢か現(うつつ)の境目で、俺がいつか気付くであろうことを待っ…

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グリード 2

超然とこの世に君臨するヒールっていいよな ヒーローが消えて久しいのは 絶対的な強さを持つヒールが不在だからさ S極もN極も定まらない混迷の世界 アメリカもEUも自壊の様相を呈して久しく、中国、ロシア、北朝鮮、ISなどとの、虚仮威しばかりのどこか女々しく不鮮明な対立が水虫のように蔓延し、振興BRICsも今は停滞し、南北問題とい…

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グリード

真山仁 著「グリード」(上)(下)巻 読了 「天才とは1%の閃きと、99%の努力の賜である」 だがこの言葉は誤解されている 自信過剰だったと言われるエジソンの言葉の真の意味は 「天才的な閃きがないなら、努力なんてクソだ」〈グリード下巻より抜粋〉 鷲津政彦という男・・・! 強欲のぶつかり合う最前線で戦ってみたい …

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人間の存在というバブル

1987年10月19日 ブラックマンデー(日経平均21,910▼3,836) 金融暖和を続けた日本では半年後の1988年4月には下落分を回復 すでに1986年頃に始まっていたバブル景気は更なる膨張を続け 1989年12月29日には史上最高値(38,915)をつけることになる 以来、次から次へ色んなことがあったが、大きな脈絡と…

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青葉繁れる下で

ほとんどの人は、もうこれ以上アイデアを考えられないというところまでいきつくと、そこでやる気を無くしてしまう。 勝負は、そこからだというのに。 〈 トーマス・エジソン〉 真山仁 著「グリード(上)」冒頭の言葉だ エジソンが自らを奮い立たせた彼の呪文なんだろう エジソンをして目の前には常に虚しい壁…

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ワニのような皮膚

「ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領」角川文庫 のP20に、《政治の世界で主役級のポジションを獲得するには「ワニのような皮膚か、カメのような甲羅」が必要だったが、彼はもともとそれを身につけていた。》という一文がある ワニのような皮膚か、カメのような甲羅・・・! 南米ウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカの本質を見抜き簡潔に表現する能力…

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「沈まぬ太陽」のような夢

俺は本社へのなだらかな坂道を歩いていた 皐月が咲き乱れ青い空が広がっていた たいしたポストではないが※事業部と名の付く部所の一角に 俺の机はささやかに用意されていた 見慣れぬ若い顔ばかりの中に何人かのかつての同僚を見た 女性社員は見知らぬ男に対して何やら騒めきながらも 皐月の花のように明るく迎え入れてくれた 温…

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永遠の中に足を踏み入れた時

辻 仁成 著「永遠者」「白仏」読了 悠久の時を経て広がる白い砂浜 (自由とは物と欲望に囲まれることじゃなく たっぷりの時間の中にあることだ) 白い砂浜は岩石と珊瑚や貝の骨の山 長い旅の果ての荘厳な墓場 今は静かな寄せる波に抱かれ 潮騒の読経が子守唄のように供養する 形あるものが形を失い 形なき時が …

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スウィングしなきゃ意味ないぜ

スウィングしなきゃ意味ないぜ (ノリノリのJAZZ演奏に挑発される) 深く分け入りゃいいってもんじゃない 膨大な質量に呑み込まれちゃ終(しま)いなんだよ その膨大な質量の上をスウィングした者のみが味わえるこの世の妙味 引きずっちゃだめだよ こだわっちゃだめ 立ち止まってぐずぐずしてる間に 粘ついた無尽蔵な質量が上…

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マトリックス

コーナーでの休息も無ければ ラウンドの終わりを告げる鐘も無い 一日は因果の法則のリングの上にしかない 未来は因果の法則のリングの上の勝利の先にしかない 一日、一時間、刹那刹那が 実存的勝利と実存的敗北の屹立した因果の稜線の上にある 因果とは過酷なものだ だが因果とは 広大無辺な宇宙に底があり 無限暗黒の…

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桜の花の満開の下で

桜の花の満開の下にようやくたどり着いたら そこにはこれまでの人生の細やかなハレの時々が たゆたう陽だまりの中で のたりのたりと春の波音のように 永遠の時を揺らめいていた 一回生の中ですら 輪廻転生を繰り返してきたような 日々遠くなる夢のような記憶 声をかけても振り向かない ソメイヨシノの花びらのような淡い幻 …

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