ステージの上

8088EFAE-AE4E-4DCF-AAF6-4BFE9EA56FDA.jpeg寒さや北風や長い夜の闇が招く皮袋の緊張は、
それが己れの因果や非才故であるかのように自らを苛み続けた

心を包む皮袋の微細な緊張までが常に心の抑圧に加担する現実
げに心とはなんとひ弱で面倒なものか

とどのつまりあらゆる理性も、論理も、意志も
不安定な土台の上でゆらめく砂上の楼閣なのだ


だが、気温が上がり、北風が止んで
のたりと明るく暖かい陽差しが周りに満ち始めると

今度はもう、ただそれだけで
這いつくばっていた土塊(つちくれ)であるはずのこの場所も
いつの間にか辺りを僅かに睥睨する輝くステージに変わり

小鳥がさえずり梢の先から青い若葉が空に向かって芽を出すように
何やら晴れがましい気持ちになって
へしゃげた心は風船のように膨らんでいくのだ

皮袋の檻に閉じ込められ いたぶられ続けた心を
うららかな春の空へ放ったような

心は嬉しそうに頭上を旋回し
やがて自らの肩に帰って来た

心がやっと皮袋の生理から解放されたのだ

枝葉を大胆に茂らせ
鮮烈な花の一つも咲かせてやろうか
巨大な楼閣の一つも作ってやろうか

それから先はステージの上で
自らの存在を一つ、明快に示してからの話だ

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この記事へのコメント

ママジャム
2021年04月04日 06:05
天へ突き抜けたような気持ちになりました。心に春を!