YesterdayとTomorrowの間

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用事を済ませていつも早々に後にするこの街を今日は土曜日で暖かく、なんとなく歩いてみた。歩いているうちに昔よくきたビートルズの曲だけが流れるYesterday という名の老舗の喫茶店に寄ってみようという気になった。JRの駅こそ立派になったが、流川も本通りも中央通りも、八丁堀も大手町も紙屋町も、かつての輝きを失って、つまらぬ色褪せた街になった。そこ此処にできた見覚えのないマンションやホテルもただの墓石にしか見えない。相変わらずのこの街は染み付いた手垢のように、俺のyesterdayでいっぱいだったが、ノスタルジーはかけらも湧いてこない。今となってはこの穴蔵だけが、この街で唯一帰ると言える場所であり、この街のかつての独立不羈(ふき)な活力に満ちた魂の鎮魂の社(やしろ)でもあるかのように、あるいはもう一つの護国神社や白神社であるかのように、無慈悲に荒れ狂う時代の波の底で今も尚、ポツンと黄色い看板に灯を灯していた。
久しぶりに聴くビートルズは、改めてポップスであると同時にロックだと感じた。今のイギリスの惨状を考えれば、この街の内なる荒廃も致し方ないのかもしれない

この社の本尊はビートルズだ
だから凍結された60年代の空気の中で
絶えることなく念仏のようにビートルズの曲が流れ続ける

Yesterday

嗚呼、Yesterday !


甘味で切ないはずの yesterday の空気が意に反して
屋外を包囲する半世紀後の劣化した街、人、時代を静かに糾弾し密かに憂い悲しむ

荒削りのyesterdayにどんな温泉浴をも超える力を養う傍らで
輝くtomorrow は視界のどこにもにない

見映えだけが小綺麗になったコロナ禍の街に
今が所在なげに、枯葉のように力なく風に舞う

Yesterday ! そして Tomorrow


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