彼方からの応答

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俺はあれから一週間経って 何かに憑かれたように
再び河平連山ハイキングコースに入って行った

途中 空中楼閣のような
出口のない集落に閉じ込められそうになりながらも

間一髪 危機を脱し(俺にはそう思えた)
形而下的世界に戻ってきた

ふと目にした集落入口の道標に
軽い気持ちで立ち寄るつもりが
果てしない登り坂の 深い山の上の上に

静かな桃源郷のような
稲穂が黄金色に色づく美しい集落だったが

そこは時間が止まっているか
あるいは なかったのだ

道なりに集落を通り抜けようとして谷間にかかり
その先が行き止まりであることを知った時
俺の背筋に悪寒が走った

引き返す道すがら 畑仕事をする農婦の生気のない背中を二つほど見たが
時空の扉が未だ閉じていないことを祈りつつ
もときた細い山道を駆け下りた

深い谷間を通り抜け 彼方に雄々しい三倉岳を見たとき
安堵と同時に 形而上的世界の生やさしいものではないことを知った

そして 形而下的世界の片隅にこうして
慎ましくも 美しく涼やかな実りの秋を迎えることの
真の喜びが分かったような気がした
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そんな俺の心の機微を見透かしたように
鮮やかな彼岸花の群落が目の前に現れる

見えざるものへの怖れと
見え得るものへの感謝を知る者にのみ
その姿を現すかのように

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あゝ  凄いな
そして 何だか 嬉しくなる

生も死も 怖れも喜びも 
何もかも含めて讃歌しているような

讃歌としか言いようのない盛大さじゃないか

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この記事へのコメント

ママジャム
2020年10月05日 04:31
彼岸花を見るとホッとします。これを読んで、様々に思いを巡らします。