三味線とハードボイルド

三味線のバチさばきに
セザンヌの絵筆のタッチを見る

旋律を奏でず
描線を引かず

この世に蒸留したような甘っちょろい旋律があるわけもなく
これが真実の形ですと疑いもなく引ける描線もない

それこそがヘミングウェイが足繁くルーブル美術館に通い
セザンヌの絵から学び得たハードボイルドの極意だ

人の心理を事細かく書き連ねる小説など今さら読みたくもない
無意味な説明や不要な解説など聞きたくもない

この世は好むと好まざるに関わらずハードボイルドなんだよ
御託を並べる奴は常にカスと決まっている

波動があるだけ
行動と行為の連続があるだけ

旋律も描線も、もしあるとしたら
波動の内に感じ取るものでしかない

あるときはバチで一弦をつま弾き
あるときは三弦を激しく連打する

弦楽器だが打楽器でもあるような
無彩色でありながら確かにそこにある
強靭な主体と幽幻なる躍動

波動があるだけ
行動と行為の連続があるだけ

あるときはバチで一弦をつま弾き
あるときは三弦を激しく連打するだけ

(木下伸市や吉田兄弟の演奏に浸りつつ)


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