風立ちぬ

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すべての場面に風が立っている。
一コマ一コマが叙情文学の一行一行のように訴えかけてくる
映画自体が、病に引き裂かれるとわかって二郎に「美しいとこだけ」見せようとした菜穂子のようでもある

宮崎駿 監督 「風たちぬ」鑑賞



関東大震災・世界恐慌・第二次世界大戦という大正から昭和にかけての動乱も純粋な恋と夢にとってはその美しさと詩情を際立たせる立ち昇り通り過ぎた一片の風に過ぎない

二郎の夢が零戦となって空高く舞い上がる
否、まっすぐなロマンチシズムを持って立ち向かうとき誰の人生においても風は立つ

無限と有限の深く切り立った崖の底から吹き上げてくるような風
悠久の時を流れる続ける小川のせせらぎのような風
船待ちの旅人のようにひと時の戯れにオーロラのように感光してみせる風
自らの内に立つ上昇気流と意気投合するかのごとく呼応する風
可憐な存在を慈愛を持って知らしめ美しい輪郭を鮮明にする風

儚(はかな)さを嘆かない
零戦のゆく先を問わない

懸命に前を向いて生きる時、風は立ち美しい詩情は訪れる。



     
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