アロハを着たハンター(銀河はいつも其処に有る)



かつて一度だけ至福の中で銀河系の光に包まれた

北海道襟裳岬での一夏 
昆布小屋での住み込みのバイト

迎え火を焚いた夕暮れ
粗末な夕食の後 

眼下に襟裳の海が迫る小屋先の砂利を敷詰めた一角に
ドラム缶で一夜限りの風呂を沸かした

隣の小屋の学生と順番に
皆の笑いの中でそそくさと前を隠して飛び込んだ

すでにあたりは真っ暗で
燃える薪の炎だけが即席の風呂の在り処を教えた

そして240度 いや360度にも拡がる 
眩しいほどの星々の瞬きの中に自分が浮いているかの如きを知る

頭上のど真ん中に夜空を横断するように大きな光の河
星々はキラキラと音が聞こえるかのように瞬き
夜空に垂れ下がる無限に実る葡萄の房のように其処此処で有らん限りの光彩を放つ 

手を伸ばせば直ぐにも もぎ取れそうだった

1日14時間労働の日々
一度きりの望外の湯船

ドラム缶の遠く下方で襟裳の海の寄せる波音
風呂釜の熱い鉄の淵にまで銀河に満ちていた

呆然と見上げる束の間の永遠
流れ星は飛び跳ねる川魚のように幾つも流れた

あらゆる祝福がそこにあった

その満天の銀河の底知れぬ拡がりを前にして 神を疑う者がいるだろうか
生きていくことに尚 疑問を持つ者がいるだろうか



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