ケイズ・バー(雄たけびながら飲もうよ)

  あぁ 旨い酒飲みたいね

           魅力的な奴らと

 回顧でなく つまんない議論でなく 自慢でなく 愚痴でなく

無味乾燥な情報交換でなく 仕事や家庭や野球やゴルフやゲームやタレントの話ではなく・・・


でも 魅力的な奴など 久しく会ったこともない

いや今までに いたかどうかも怪しい。


魅力的な 酒がさらに美味くなるような話も絶えて久しい

誰とどんな話をした時が最高だったか。

いろんなところでいろんな奴と数え切れないくらい飲んできたはずだが 酒に酔っても話にも酔うようなことは終ぞなかった。

魅力的な奴 いくらでもいるはずだし 魅力的な話 いくらでもあると思う。

 しかし 悲劇なのか 不幸なのか 未熟なのか 不遜なのか知らないが
常に自分を超える魅力的な奴はいなかったし 自分がする話以上に面白い話などなかったように思う

それでも酒飲みというのは 酒を飲み交わすところに桃源郷が開けるとかたく信じていて 今夜も闇夜に舟を漕ぎ出すというのか。

    おとこと女の間にも おとことおとこのあいだにも 深くて暗い河がある 

   渡るに渡れぬ河なれど えんやこら今夜も舟を出す

            ロゥ and ロゥ  ロゥ and  ロゥ  振り返るな ロゥ ロゥ

 男の世界で(いや どんな世界でも) 魅力ある奴らと 魅力ある話をするなどと 

                 あるいは幻想なのかもしれない。

高名な作家たちの対談集は読むが 編集者もいず 編集もなく 

  プライベートな飲みの席で そんな会話が整然と交わされるはずもない。

  椎名誠の取りまきは あくまで仕事で彼にかしずいているのだ。

まぁ そこまでの会話を期待するわけもないが それでも その何分の一かでもあってもいいと思ってしまう。

別に 饒舌でなくていい。 荒野で星降る夜更けに薪をくべながら 都会のバーで寡黙にたがいに違う方向を向きながら ・・・・・  やっぱりおかしいな。 なんか気色悪いよ。 よく分からないがこりゃやっぱりホモの世界だな。


美味い酒を飲みたい  これはいい。 意気軒昂に語り合う  これもいい。
丁々発止で議論する  これもいい。  しかし 分かり合う  これはホモでなけりゃ必要ないのかもしれない。

男と女が愛し合う前戯としての飲み以外は そもそも分かり合うものでないとすれば 主張し合う闘いの場ということにならないか。

博愛主義の桃源郷は幻想で 本質は男が雄雄しく雄たけび自分を誇示し まわりをひれ伏さす闘争の場ではないのか。

相手を理解する場所ではない。 ただおのれが雄たけび 相手をひれ伏させる場所なのだ。
そして それこそが男にとっての桃源郷なのではあるまいか。


     男に同胞はいらないのだ

   男はただ雄たけび 戦い ハーレムをつくる

      負ければ殺されるか 群れを離れ 孤独のうちに死んでゆくだけなのだ。

   美味い酒とは 雄たけび 雌をはべらせ その場に君臨することなのだ。


                         「 マスター! 」  「 生 おかわり! 」