狂人志願(再び井戸の底)

それにしても この息苦しさはどうだ

厚い雲に覆っておいて 蒸し焼きかい 

なんだって煮込めば やがて煮詰まるさ

いったい何の料理だい?

誰が 食うんだい?


そして この俺は 井戸の底 


どれほどの時が経ったのか 何のためにここにいるのか・・

繰り返し襲ってくる痙攣のなかで

ゴボッ ゴボッ と何かを吐出したようでもあり 

いくらか楽になったような気もするが 

吐出物の腐臭に また新たな吐き気を催しているような気もする


闇はタールのようにドロリとしていて

壁も タールのように ドロリ としている


空海のように チリン チリンと鈴を鳴らしながら 

即身成仏を求めているわけじゃない

俺への霊水の流れを塞き止める 闇に巣くうおぞましい悪意と闘い

そいつを殺すために ここにいる


身ひとつ 置けるだけの井戸の底

どのみちどんずまりの死に体だ。

みずから望んだ闇と壁

月も 星もない 暗闇だ



いつまでまっても闇と壁 どこまでいっても闇と壁

どんずまりの死に体だ